驚愕!!独身税!?


「2026年4月スタート、
~異次元的少子化対策の財源?~」


~独身、子なしへのペナルティ税?~


独身税

独身税


2026年4月に「異次元的少子化対策」の財源確保のため「子ども子育て支援金」が社会保険料に賦課され徴収されます。このニュースに、「独身税だ!」「ステルス増税だ!」と世間では騒然となっていますが、この「子ども子育て支援金」とは一体どのようなものなのでしょうか?
深刻な少子高齢化が、「待ったなし」状態の日本で導入されることが決定した「子ども子育て支援金」の内容を踏まえて、

「子ども子育て支援金とは?」
「子ども子育て支援金の使い道は?」
などの疑問点を中心に女性税理士の視点で概要を踏まえわかりやすく説明したいと思います。


※参考URL



女性税理士 安武 貴美子

【資格】
九州北部税理士会会員  税理士
ファイナンシャル・プランニング技能検定1級




1.子ども子育て支援金

1-1.子ども子育て支援金は、「独身税なのか?」

2023年12月22日、こども未来戦略の財源として「子ども子育て支援金」が閣議決定されました。
すると、ネットやSNSなどでは「独身税だ!!」との声が上がり世間の話題となりましたが、そもそも「独身税」とはどのようなものなのでしょうか?
理解を深めるため少し歴史を辿ってみましょう。
人口増加や出生率の向上のため古くは古代ローマ(初代皇帝アウグストゥス)からあり、独身者や子どもを持たない人々に対して経済的制裁を行うものでした。
その背景には、当時のローマ帝国はローマで生まれた市民から徴兵された軍隊を中心に絶えず植民地を拡大していたため「軍人の養成」に焦点を合わせた政策的な判断から賦課されたといわれています。
近代においては、旧ソ連やブルガリアが、少子化対策や労働者確保のために行いましたが、現在は廃止されている歴史があります。
このように本来の「独身税」は、少子化対策の一環として「独身者や子どもがいない夫婦」を対象に課税する税金を意味します。




では、「子ども子育て支援金」はというと、当該支援金の財源を「保険料」から徴収することになります。
つまり皆が払う「保険料」として、全世代・社会全体で子育て世代を支えましょうという制度であり、一方では「独身者」にはリターンがない保険料となります。
そのようなことから、「子ども子育て支援金」は実質「独身税では?」と言われるようになったのです。



1-2.子ども子育て支援金の負担額は?

子ども子育て支援金の財源は、「税金」ではなく「保険料」から徴収されることになりますが、一体「社会保険加入者」一人当たりいくらの負担額とあるのでしょうか?



介護保険料は、40歳~64歳までが負担する


子ども子育て支援金の負担額概算を、こども家庭庁ホームページ「子ども・子育て支援金に関する試算(医療保険加入者一人当たり平均月額)」より見てみましょう!


子ども子育て支援金の負担額概算

上記の表は、2026年4月開始以後3年間(令和8年から令和10年)の負担額の概算を示しています。
分かりやすいように令和8年度見込み額から「被用者保険のうち協会かんぽ(中小企業が加入者している)」を見てみますと(黄色の丸印)被保険者一人当たり400円(月額)となっています。

被用者保険料は、労使折半ですので企業側も400円(月額)の負担となります。



しかし、現況の概算額では年を追うごとに負担額は増加するようです。

令和 9年度 →550円×12ヶ月=6,600円
令和10年度→700円×12ヶ月=8,400円

こうして見てみますと決して、安い負担額ではありませんね。




1-3.子ども子育て支援金の用途は?

政府は、若年人口が急激に減少する2030年代に入るまでに少子化トレンドを反転させることが「ラストチャンス」であり重要な分岐点と捉え、その施策して「加速化プラン」を打ち出しました。
政府は、現況において「子ども子育て支援金」+他からの予算の総額3.6兆円の財源を使い「子ども子育て支援」をするとの方針を示しています。
その総額3.6兆円の予算は、「加速化プラン」において実施する具体的な施策に拠出されることになります。



「加速化プラン」の中身~多岐にわたる用途~

(そのうちの主な一部を紹介)こども未来戦略MAP参照


◆妊娠・出産時からの支援強化


◆出産等の経済的負担の軽減


◆出生後休業支援給付金(2025年4月から)

出生後一定期間内に両親が共に14日以上の育休休業を取得した場合

28日間を限度に給付率を80%(手取りで10割相当)引き上げる


◆児童手当の拡充(拡充後の初回の支給は2024年12月)


◆国民健康保険料の免除措置(2026年10月)

自営業・フリーランスの育児期間中(産前産後4カ月)


◆全ての子ども・子育て世帯を対象とする支援の拡充

「こども誰でも通園制度」を創設(2026年4月)

 →月一定時間までの利用可能枠の中で、時間単位等で柔軟に通園が可能仕組み


◆大学等の高等教育費の負担軽減を拡充



◆子育て世帯への住宅支援


などの施策によって
支援金制度の創設によるこども一人当たりの給付改善額(高校生年代までの合計)は約146万円となり、現行の平均的な児童手当額約206万円とあわせると、合計 約352万円 となると予想されます。

                         


あとがき

政府は、「子ども・子育て政策の強化」の3つの基本理念として①若い世代の所得を増やす②社会全体の構造・意識を変える③全ての子ども・子育て世帯を切れ目なき支援するを掲げており、どれも重要でありながら問題は山積しています。

若い世代が、「人生のラッシュアワー」と言われる学びや就職・結婚・子育てなどのライフイベントにおいて、現在の所得や将来の見通しを持てるようにするためには先程の3つの基本理念は非常に重要なことですし、それらの施策が「少子化」反転への糸口なることは十分理解できます。

しかし、一方で現況の経済は不透明な部分が多く景気への期待が希薄な空気の中、国民の負担を求めるのは、「少子化対策」を大義名分としても国民への説得力には欠けるように思えます。

2028年までに政府は、徹底した歳出改革と賃上げ等を行い、国民負担の理解を得ることが重要といいながらも、もうすでに事業者に少子化対策の財源として負担してもらっている「子ども子育て拠出金(保険料)」がありながら労使折半として「こども子育て支援金」を負担することに対する「二重課税問題」を回避するために「保険料」で徴収するという政府の「狡猾さ」が垣間見え、そして政府の対応には疑問が残るところではないでしょうか?